NEWS新着情報

ベランダからの雨漏りとウレタン防水の通気緩衝工法について2025.09.02

ウレタン防水の通気緩衝工法とは、建物の屋上やバルコニー、ベランダなどに施工される防水工法の一つで、特に下地に水分が残っている可能性が高い場合や既存の防水層を改修する際に選ばれる方法です。

建物の屋上やバルコニー、ベランダが全体的に劣化しており、下地まで水分が侵食していると雨漏りの要因になります。

防水が施されている部分から雨漏りをした場合に、改善補修するうちの1つに既存の上から防水層をやり直す通気緩衝法があります。

通常の密着工法では、防水材を下地に直接塗り付けるため、下地に含まれている水分や施工後に発生する水蒸気が逃げ場を失い、防水層の膨れや剥離を引き起こすリスクがあります。

これに対して通気緩衝工法では、下地と防水層の間に「通気緩衝シート」と呼ばれる特殊なシートを敷設し、その上にウレタン防水材を塗布して防水層を形成します。シートには無数の小さな穴があり、下地から発生する水蒸気を逃がす役割を果たすため、防水層の膨れを抑制できるのが最大の特徴です。

さらに、このシートと組み合わせて設置されるのが「脱気筒」と呼ばれる部材です。
脱気筒はシート下にたまった湿気や水蒸気を屋外へ排出するための排出口であり、これにより内部の湿気を効率的に放出し、防水層内部の環境を安定させることが可能となります。特に鉄筋コンクリート造の建物では、構造体自体に水分を含んでいるケースが多く、時間の経過とともにその水分が蒸発して防水層に影響を及ぼすことがあります。通気緩衝工法は、こうした建物特有の状況に非常に適した工法だといえます。

この工法のメリットは、防水層の膨れや浮きを防ぐことができる点に加えて、下地の動きに追従しやすいことです。コンクリートのひび割れや収縮・膨張といった挙動にも柔軟に対応できるため、防水層が長持ちしやすい特徴があります。また既存防水層を撤去せずに上から施工できるケースも多いため、改修工事においては工期短縮や廃材の削減にもつながります。

一方で、密着工法と比べるとシートや脱気筒を用いるため材料費や施工手間が増え、コストがやや高くなる点はデメリットといえます。また立ち上がり部分や入隅部などは密着工法を併用する必要があり、施工精度が求められる点も注意が必要です。

総合すると、ウレタン防水の通気緩衝工法は「下地に水分が残っている可能性がある」「既存の防水層を改修したい」「膨れや剥離を防ぎたい」といった条件下で最も効果を発揮する工法です。

初期費用は多少高くなりますが、防水層の長寿命化やトラブル防止を考えると、結果的にコストパフォーマンスの良い方法として広く採用されています。



contactお問い合わせ

ご質問・ご相談も承りますので
お気軽にお問い合わせください

0120-014-524

contact