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屋根工事における換気棟の効果と設置位置の考え方2025.10.18

屋根工事における換気棟は、屋根内部、特に屋根裏の空気環境を整えるための重要な部材になります。役割としては、屋根裏にこもる熱気や湿気を効率的に外へ排出し、住宅の快適性や屋根材・構造体の耐久性を大きく向上させます。
特に近年は、高断熱・高気密化が進む住宅が増えており、内部の湿気が逃げにくくなる傾向にあるため、換気棟の重要性はさらに高まっています。

また、換気棟は屋根裏の温度上昇を抑えてくれます。夏場は直射日光によって屋根表面が触れられないほど高温になります。表面の熱が屋根裏へ伝わることで内部温度が60℃以上になる場合もあります。換気棟を設置することで上昇した熱気を排出でるため屋根裏の温度上昇を抑制できます。エアコンの負担を軽減し、冷房効率が向上するため、省エネにもつながります。
さらに、湿気や結露の防止効果もあります。冬場は室内で発生した湿気が天井裏に上がり、外気との温度差によって結露を生じることがあります。この結露が繰り返されると、断熱材が湿気を含んで性能が低下したり、木材が腐朽して耐久性を損なう恐れがあります。換気棟によって屋根裏の湿気を常に外へ逃がすことで、結露の発生を防ぎ、建物全体の劣化を抑制します。湿気から守り、構造体や下地材の寿命を延ばす効果があります。

また、湿気を抑える特徴から防水シートや野地板の劣化を抑えることができ、屋根材そのものの耐久性を向上させます。特に金属屋根やスレート屋根の場合、内部の熱がこもると膨張や収縮を繰り返して釘の緩みやヒビ割れが生じることがありますが、換気棟があることでこれらのリスクを軽減できます。
設置位置については、屋根の最も高い位置(棟部分)に設けます。暖かい空気は自然に上昇する性質を持っているため、棟部分に排出口を設けることで効率的に排気できます。

換気棟の長さや設置数は屋根面積に応じて計画する必要があります。一般的な目安としては、屋根裏面積10㎡あたり100㎠程度の換気面積を確保すると良いとされています。換気不足のままでは効果が発揮されず、逆に過剰すぎると雨水の吹き込みリスクが高まるため、バランスの取れた設計が求められます。
総じて、換気棟の設置は屋根の見た目には目立ちにくいものの、建物の寿命や住環境の快適性を左右する非常に重要な部材です。適切な位置と換気計画をもって施工することで、夏の暑さや冬の結露を防ぎ、長く快適に暮らせる住まいづくりにつながります。






