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スレート屋根のアスベスト問題と見分け方2025.11.19

スレート屋根のアスベスト問題は、築年数の古い住宅では今なお重要な点検項目の一つです。アスベスト含有スレートは2004年以前に製造された製品に多く、その安全性や改修方法を正しく理解しておくことが、トラブルや余計な費用を避けるうえで欠かせません。ここでは現場のプロが実際に確認している「見分け方」と「注意点」を詳しく解説します。

まず前提として、アスベストを含むスレート材=危険だからすぐ撤去という誤解がありますが、実際は「破損して粉じん化しない限りリスクは低い」素材です。屋根材として固定されている状態であれば、繊維が空気中に飛散する可能性は極めて低く、使用禁止は“加工時に粉じんが出るため”というのが本質です。そのため、塗装やカバー工法などの非破壊工事は比較的安全に行えます。
一方で、既存屋根が劣化して割れや反りが増えている場合、葺き替えや部分撤去が必要になることがあります。この場合はアスベストの有無が大きく影響します。含有屋根材は撤去時に特別管理産業廃棄物として扱う必要があり、処理費用が通常のスレートより高額になります。プロが事前調査を丁寧に行うのは、このためです。
次に、現場で行う アスベスト含有の見分け方 を説明します。肉眼だけで確実に判断することは困難ですが、主に以下のポイントで推定します。

- 築年数・製造時期
2004年以前の建物、特に1990年代までは含有率が高い時期。まず最初に年式を確認します。 - 製品名・刻印の確認
ケイミュー(旧クボタ松下)、ニチハ、松下電工など主要メーカーの品番により含有の有無が分かる場合があります。屋根材の裏面や軒先で刻印を確認します。 - 表面の質感・エッジ形状
アスベスト含有スレートは繊維が細かく、割れ目がシャープで滑らか。ノンアス(アスベスト不含有)は基材がやや粗く、割れ方が鈍い傾向があります。 - 劣化の仕方
含有スレートは耐久性が高く、層間剥離が起きにくいのに対し、ノンアスは10〜15年以降に層状剥離・欠けが増えることが多いです。
確定診断が必要な場合は、分析機関での成分分析(1〜3万円程度) を行えば明確に判定できます。プロはリフォーム計画の規模やリスクに応じて検査を提案します。

総じて、スレート屋根のアスベスト問題は「正しく把握し、適切に扱えば過度に恐れる必要はない」素材です。見分け方とリスクを理解し、最適な工事方法を選ぶことが、費用面でも安全面でも最善の結果につながります。






